自分の居場所に困ることがある。
通っているスクールの駐車場がいっぱいのとき、この世界から弾かれた気がして、自分の居場所はどこだと心が彷徨う。
物を整理しているとき、ちょうどいい隙間を見つけては、これとそこはぴったりなのかもしれない。と思い、それがピタッと収まってしまえば気持ちいいのだが、少し大きすぎて入らない場合は、何とも言えない気持ちになる。
その手に残った物が、自分と同じ気がして、涙が溢れる。
部屋を片付けると、気持ちが落ち着く。これはきっと私だけではないだろう。
特に嫌なことがあると部屋の模様替えを行い、もっと嫌なこと、消えてしまいたい時は、引っ越しをして、その地から自分が消える。この理不尽な世の中に対して私が最大限にできる抵抗だ。
そんな事をしているためか、私には貯金がほとんどない。
そこそこ安定した生活を遅れるくらいのお給金をいただいているが、気がつけば家を転々としている。
もう少しで1つの小学校の学区を制覇する勢いだ。
いっそのこと、それもいいかと最近では思えてきて、相手に対しても、わざと嫌われるような事を言ったりして、悔やんでいない自分に驚いている。
もはや趣味の領域だ。
そんな私が駐車場に入れないくらいの小さなことで落ち込んでいるのには理由がある。
スクールが月極で借りている駐車場、22番から28番に車が止まっており、第二駐車場として使われている廃墟アパートに隣接された駐車場に向かう。
他のスクール生は、本当は駐車してはいけない月極駐車場の6番とか29番とか、いつも空いている場所を把握しているため、しれっとして車を駐車する。
暗黙の了解と言うやつだ。
それができない人は、第二駐場に向かい、ギチギチに駐車する。
それでも今日は第二駐車場も満杯に思えて、みんなが普通に暮らしている世界から完全に弾き出された気がした。
そんな状況でも他のスクール生は私が諦めた場所ギリギリに車を止めてスクールに向かう。
決して車の運転が苦手というわけではない。
私が止め損なった場所は、私から見ると車が出る時に邪慢になってしまいう場所であり、人に迷惑をかけないという私のルールではありえない場所だ。
正直、私はこの場所が嫌いだ。何処となく雰囲気が悪い。
年中ジメッとしており、晴れた日でも水たまりがあるような場所で、空気も淀んでいる気がする。
私には霊感というものはないが、きっとこういう所を好んで幽霊が住んでいるのだろうと思う。
そんな事を思いながらも一人でネトフリを観る時にはホラーやサスペンスといったジャンルを好み、スリリングな展開の時は、手を顔に当てて隠すどころか、テレビの中に映る青白く、血だらけの女よりも目を大きく見開いて凝視している。
もしも、テレビの女が私を観ることができるのなら、きっと悲鳴をあげて逃げ出すだろう。
そんなふうに思うと、もはや自分にピッタリと合う場所なんてこの世には存在しないのかと思えてくる。
しょうがなく、路上路駐しようとウロウロし始めたが、駐車禁止の標識が目に入った。
停車ならばいいのだろうと思いあたり、少し自分の居場所を見つけてほっとした。
その場所で前の時間のスクール生が出て、駐車場が空くのを待つことにした。
私の認識では車のエンジンを切っても運転者が降りなければ停車とみなされる。
念の為に、停車後すぐにスマホを手に取り停車について調べてみた。
だが、私の認識は間違っていたのだ。
道路交通法によると停車は5分以内という明確な制限があるのだそうだ。
5分間。
3分間でカップラーメンができ、合わせて5分間で食べ終わる事ができる。急げばの話だが。
ウルトラマンだって3分と言っても5分以上いるし、ドラゴンボールにおいてはナメック星が消滅するまで後5分という表示が出てから3話くらいは話が進んだ記憶がある。
何を言いたいのかと言えば、時間と体感は違うということだ。
5分はきちんと時計で測る5分というわけで、何をしていても5分、そこはきちんとしなければ気持ちが悪い。
自分のそういう性格が面倒だ。
この歪な心がピッタリと収まる駐車場は、この世界にあるのだろうかと不安に思いながらも、時間が来て私は、また車を走り出したのだった。
END
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